聖書協会世界連盟(UBS)とは
UBSそれは、United Bible Societies の頭文字で、「聖書協会世界連盟」と訳されています。
1946年5月9日、英国のヘイワーズ・ヒースに、13の聖書協会が集まり、ヨーロッパ、アジアの戦後の混乱の中にある人々のために、そして復興のために、いち早く聖書を届けようと協議を重ね、協力を確認したのがUBSの始まりです。
その協力により、戦火に荒廃した我が国にも、700万冊の新約聖書が贈られ、戦後復興の大きな力になりました。
2013年末現在UBSに加盟している聖書協会は、146に上ります。UBSは、各聖書協会の上部機関ではなく、146の聖書協会の交わりの場であり、聖書協会運動の推進の機関です。世界的に貧富やキリスト教勢の格差がある中で、聖書普及に困難を覚える聖書協会を支援することもUBSの大きな役割のひとつです。
UBSの支援は、ISP(International Support Program)と呼ばれています。支援の必要な聖書協会が、実施を希望するプロジェクトを申請し、UBSはそれを取りまとめて開示します。支援できる聖書協会は、そのプロジェクトリストの中から支援先を選択します。
2014年度、137の国と地域から申請されたプロジェクト数は1038、費用総額は6,900万ドル(72億円)に上ります。日本聖書協会は、アジア、アフリカ、東欧など、14カ国のプロジェクトに総額273,958ドルの支援を計画していますが、さらなる協力が求められています。
その他UBSは、聖書翻訳、製作、頒布、募金、広報、管理などの各分野で、コンサルタントを抱え、研修を行い、各聖書協会が、無駄なく、効果的に、そして積極的にそれぞれの国で、聖書普及運動ができるよう支援しています。
「この世の命-神のことば」─これが現在のUBSのスローガンです。UBSは、すべての人が自分の言葉で聖書を読める日が来ることを目指して、聖書の翻訳・製作・頒布のあらゆる分野で努力を重ねてまいります。
聖書協会世界連盟(UBS)の歴史
UBS世界大会(UBS World Assemblies)
1996年にUBS世界大会と名称が変更されるまで、UBS総会(UBS Council)と呼ばれていた。UBSの設立当初、総会は毎年開催されていた。しかし、1950年までには効率化のために統治権限の多くがUBS常任委員会(UBS Standing Committee :1947設立)に委ねられた。この常任委員会も、1966年にUBS執行委員会(UBS Executive Committee)と改称された。世界大会は、現在もUBSフェローシップの最高統治機関である。
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UBS総会・世界大会一覧
日時 | 開催国 | 場所 | イベント | テーマ |
1946年5月 | イギリス | ヘイワーズ・ヒース | 設立会議 | UBSの設立 |
1947年6月 | オランダ | アメルスフォールト | 総会 | |
1948年6月 | スコットランド | ダンブレーン | 総会 | |
1949年6月 | 米国 | コネチカット | 総会 | |
1952年2月 | インド | オータカムンド | 総会 | |
1954年4月 | イギリス | イーストボーン | 総会 | |
1957年7月 | ブラジル | リオデジャネイロ | 総会 | |
1960年5月 | フランス | グルノーブル | 総会 | |
1963年5月 | 日本 | 箱根 | 総会 | 新時代のための神の言葉 |
1966年5月 | 米国 | バックスヒル | 総会 | 変化の風 |
1972年9月 | エチオピア | アディスアベバ | 総会 | 言葉に語らせよう |
1980年9-10月 | タイ | チェンマイ | 総会 | 神の言葉:すべての人に啓かれている |
1988年9月 | ハンガリー | ブダペスト | 総会 | 神の言葉:すべての人に希望を |
1996年9月 | カナダ | ミシソーガ | 世界大会 | 神の言葉:すべての人の命 |
2000年10月 | 南アフリカ | ミッドランド | 世界大会 | 神の言葉:世界への光 |
2004年8月 | ウェールズ | ニューポート | 世界大会 | 変わらない神の言葉を変化する世界に |
2010年9月 | 韓国 | ソウル | 世界大会 | 神の言葉:世界のための命 |
2016年5月 | アメリカ | フィラデルフィア | 世界大会 | 神の言葉:すべての人の生ける希望 |
UBS総裁(UBS President)
UBS総裁は主にインスピレーションを与える役割を担うが、新議長を選出する運営会議では議長を務める。
UBS歴代総裁一覧
1949年-1957年
アイヴィン・ベルグラーフ監督(ルーテル教会首座主教)
ノルウェー(ルター派)
1957年-1976年
F.コーガン主教(ブラッドフォード主教、後にカンタベリー大主教)
イングランド(聖公会)
1976年-1988年
オズワルド・C・J・ホフマン牧師(ルーテル教会牧師・「ルーテルの家」代表)
聖書協会世界連盟(ルター派)
1989年-1996年
エドワード・E・ラング監督(ハノーバー監督)
ドイツ(ルター派)
1996年-2004年
サミュエル・エスコバル師(伝道師)
ペルー(バプテスト派)
2004年-2010年
G・P・バートン弁護士(勅選弁護士)
ニュージーランド(長老派)
2010年-現在
ロバート・カンビル牧師(伝道師)
インド(長老派)
UBS 事務局長(UBS General Secretaries)
2010年に役職名が総主事(General Secretary)から事務局長(Director General)に名称変更された。聖書協会フェローシップの総主事と、UBSグローバル・ミッション・チームの最高経営責任者(CEO)を兼務する。
歴代総主事一覧
就任年 | 名前 | 国籍 |
1947年 | ジョン・テンプル | イギリス |
1949年 | オリビエ・ベガン | スイス |
1973年 | ウルリッヒ・フィック | ドイツ |
1988年 | シリロ・リゴス | フィリピン |
1991年 | ジョン・エリクソン | アメリカ |
1998年 | ファーガス・マクドナルド | スコットランド |
2002年 | ニール・クロスビー | イギリス |
2004年 | ミラー・ミロイ | スコットランド |
2011年 | マイケル・ペロー | マレーシア・イギリス |
総主事/事務局長は、国際的なUBSスタッフを統括する。これらのスタッフチームは、UBSグローバル・ミッション・チーム(UBS Global Mission Team: UBS GMT)と呼ばれる。2011年以前は、UBSサービス・オーガナイゼーションと呼ばれていたが、2000年代初頭までは「UBSスタッフ」の名前で一部はUBSリージョナル・サービス・センターに、一部はワールド・サービス・センターに所属した。
UBSガバナンスのリーダーシップ
加盟するすべての聖書協会は、世界大会(旧UBS総会)の選挙権を持つ。世界大会はUBSフェローシップの最高位の統治機関であるが、当然のことながらそれらの多くは様々な委員会によって担われてきた。
最初に組織されたのは1947年のUBS常任委員会(UBS Standing Committee)で、通常年1回開催されていた。
1966年にはUBS執行委員会(UBS Executive Committee: UBSEC)と改名され、年2回の会合が開かれるようになった。同時期により大きなUBS委員会(UBS General Committee)が設立され、UBS総会や世界大会の合間に3~4年ごとに開催されるようになる。この頃、それぞれの地域センター、スタッフ、地域委員会(UBS Regional Committee)によるUBS地域(UBS Regions)が設立された。
2001年にガバナンス構造が再び変更された。世界規模のガバナンスはUBS理事会(UBS Global Board)が行い、地域委員会は領域委員会(Area Board)となり、引き続き地域の監督機能を果たすことになった。
最新の重要なガバナンスの再構築は2011年に行われた。新しいグローバル・カウンシル(Global Council)がすべてのフェローシップのガバナンスを引き継いだ。領域委員会とその地域サービスセンターは閉鎖され、国際的なUBSスタッフは、世界各地の聖書協会のオフィス内で、指定されたUBSハブで、または自宅で働くことになった。現在、UBSグローバル・ミッション・チームのスタッフは、30カ国以上に在住している。
グローバル・カウンシルは、UBS法人およびグローバル・ミッション・チームの統括を主な役割とする執行委員会(Executive Board)を任命する。
2020年から2021年にかけて、さらなる再編プロセスが進行中である。
UBS総会、UBS委員会、UBS執行委員会、UBS理事会、グローバル・カウンシルの議長一覧
UBS総会(UBS Council)
就任年 | 名前 | 肩書 | 国名 |
1947-1949年 | アイヴィン・ベルグラーフ監督 | ルーテル教会首座主教 | ノルウェー |
1949-1954年 | エリック・M・ノース師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
1954-1957年 | ウィリアム・J・プラット師 | 英国聖書協会副総主事 | イングランド |
1957-1958年 | プレム・マハンティー師 | インド聖書協会総主事 | インド |
1959-1963年 | H.M.アロースミス師 | オーストラリア聖書協会総主事 | オーストラリア |
1963-1966年 | ラトン・E・ホルムグレン師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
1966-1972年 | フランシス・アカヌ・イビアム卿 | 世界教会協議会会長 | ナイジェリア |
1972-1976年 | V・T・V・セルースケルケン男爵 | オランダ聖書協会総主事 | オランダ |
1976-1980年 | A.E.インバナサン師 | インド聖書協会総主事 | インド |
1980-1984年 | ジョン・ムパエイ師 | ケニア聖書協会総主事 | ケニア |
1984-1988年 | アリス・ボール師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
UBS常任委員会(UBS Standing Committee)
就任年 | 名前 | 肩書 | 国名 |
1947-1949年 | アイヴィン・ベルグラーフ監督 | ルーテル教会首座主教 | ノルウェー |
1949-1954年 | エリック・M・ノース師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
1954-1957年 | ウィリアム・J・プラット師 | 英国聖書協会副総主事 | イングランド |
1957-1959年 | ウィリアム・C・ソマービル師 | スコットランド聖書協会総主事 | スコットランド |
1960-1963年 | V・T・V・セルースケルケン男爵 | オランダ聖書協会総主事 | オランダ |
1963-1966年 | ラトン・E・ホルムグレン師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
UBS委員会(UBS General Committee)
就任年 | 名前 | 肩書 | 国名 |
1966-1972年 | A.E.インバナサン師 | インド聖書協会総主事 | インド |
1972-1976年 | ジョン・ムパエイ師 | ケニア聖書協会総主事 | ケニア |
1976-1981年 | ケネス・G・マクミラン師 | カナダ聖書協会総主事 | カナダ |
1981-1984年 | ガーリ・V・イェンセン師 | デンマーク聖書協会総主事 | デンマーク |
1984-1988年 | ヒューゴ・マイヤー氏 | オーストリア聖書協会総主事 | オーストラリア |
UBS執行委員会(UBS Executive Committee)
就任年 | 名前 | 肩書 | 国名 |
1966-1972年 | ラトン・E・ホルムグレン師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
1972-1976年 | A.E.インバナサン師 | インド聖書協会総主事 | インド |
1976-1988年 | ジェームズ・R・ペイン師 | オーストラリア聖書協会総主事 | オーストラリア |
1988-1991年 | ジョン・D・エリクソン師 | アメリカ聖書協会総主事 | アメリカ |
1991-1996年 | ジークフリート・ミューラー師 | ドイツ聖書協会総主事 | ドイツ |
1996-2001年 | ユージーン・ハーベッカー師 | アメリカ聖書協会会長/CEO | アメリカ |
UBS理事会(UBS Global Board)
就任年 | 名前 | 肩書 | 国名 |
2001-2005年 | サリー・S・ロビンソン氏 | アメリカ聖書協会理事長 | アメリカ |
2005-2009年 | ジェリット・クリツィンガー師 | 南アフリカ聖書協会総主事 | 南アフリカ |
2009-2011年 | ノラ・ルチェロ師 | フィリピン聖書協会総主事 | フィリピン |
2011-2013年 | ルディ・ジマー師 | ブラジル聖書協会総主事 | ブラジル |
UBS グローバル・カウンシル(UBS Global Council)
就任年 | 名前 | 肩書 | 国名 |
2013-2016年 | ルディ・ジマー師 | ブラジル聖書協会総主事 | ブラジル |
2016-2019年 | エファ・ガーティー氏 | ガーナ聖書協会理事長 | ガーナ |
2019-現在 | エレイン・ダンカン氏 | スコットランド聖書協会 | スコットランド |
文責:テリエ・ハートバーグ(UBS GMT)
2021年3月