聖書の印刷技術は進化しています。
聖書に使われる軽くて薄い印刷用紙は、インディアペーパー(バイブルペーパー)と呼ばれています。環境に敏感なため、温度、湿度、水分量、静電気などに注意を払って印刷しなければなりません。
また、聖書はページ当たりの文字数が多いため、文字の色が薄すぎても濃すぎても、読みにくくなります。印刷する文字は、明確でありながら同時に主張が強くなりすぎないよう、インクの濃さを調節する必要があります。
15世紀中ごろ、ドイツのグーテンベルクが、鉛などを混ぜた合金の活字を用いた活版印刷術を発明しました。活版印刷による最初の本格的な書物の1つが、42行聖書でした。聖書印刷の歴史は、印刷技術の歴史そのものなのです。
上から押圧する仕組みのグーテンベルクの印刷機は、現在では使われていませんが、活字を用いた活版印刷技術は近年まで使用されました。
印刷技術は年々進歩しています。
聖書の印刷も、活版印刷の時代を経て、オフセット印刷(版と印刷紙を接触させず、インクを一度転写用ローラーに写してから紙に印刷する仕組み)が主流となりました。また、枚葉印刷機(印刷用紙に1枚ずつ印刷する)に加え、高速で大量の印刷ができる輪転印刷機(ロール状の印刷用紙に印刷する)も利用しています。
組版製版の技術は、金属活字による写植を経て、写真写植、電算写植、さらにはコンピューター組版へと進歩してきました。
現在では、組版ソフトでデータ化されたことによって、紙だけでなく、電子書籍など多様な媒体による聖書の発行が可能になりました。