書物の中の書物
聖書を表す語として知られているバイブルは、ギリシア語のビブリオンに由来し、書物を意味する。古代の紙の材料であるパピルスはエジプトのナイル川流域に多く自生したパピルス草の茎の髄を薄く裂いて作られた。このパピルスの髄の部分をビブリオンといったことから書物を意味するようになった。聖書正典は「創世記」から「ヨハネの黙示録」まで66冊の書物から成っているが、統一性を持った一冊の書物なのである。 聖書は必ず定冠詞をつけてザ・バイブルと言う。
写真の説明
パピルスはナイル川などの湿地帯に自生し、背丈5m余りに成育する。パピルス紙のほかにも、古代エジプト人の生活にとってきわめて重要な材料であった。茎は食用にされ、また繊維状の皮でマットや篭、帆、ロ-プ、サンダルなどを作ったり、さらに茎を束ねて舟を作った。(写真提供/横山 匡)
キリスト教の規準である聖書
聖書はキリスト教の正典(カノン)である。カノーンというギリシア語は尺度・規準という意味である。ヘブライ語ではカーネーとなり、葦の茎のことである。旧約時代の人々はまっすぐな葦の茎を竿尺として用いたので、「測り竿」の意味にも使われる。ここから「尺度」「規準」という意味が出てくる。聖書がキリスト教のカノンであるとは、聖書はキリスト教の信仰内容を正しく理解し伝えるための規準であることを示している。
翻訳史
翻訳史01|ザ・バイブル
聖書を表す語として知られているバイブルは、ギリシア語のビブリオンに由来し、書物を意味する…
翻訳史02|聖書は何語で書かれたか
旧約聖書はヘブライ語で記されている。ごくわずかの部分は…
翻訳史03|聖書の成り立ち
「旧約聖書」という呼び方はキリスト教において「新約聖書」と対応して名づけたもので…
翻訳史04|聖書は写本で伝えられた
われわれに伝えられた聖書の本文はすべて写本によるもので、聖書の原本というものは…
翻訳史05|ギリシア語の写本
ギリシア語写本は大文字写本Uncialと小文字写本Minusculeとに大別される…
翻訳史06|パピルスやヴェルムに
パピルス紙はエジプトにおいて紀元前3000年ごろ考え出された…
翻訳史07|翻訳された聖書 古代から中世
古今東西の文献の中で、聖書ほど古くから今日に至るまで多くの翻訳がなされてきたものはない…
翻訳史08|すべての人々の手に聖書を 近現代の聖書翻訳
ラテン語で書かれた聖書を理解できるのは一部の者だけだった…