教皇フランシスコに『聖書 聖書協会共同訳』特装版を献呈

教皇フランシスコに『聖書 聖書協会共同訳』特装版を献呈
教皇フランシスコ献呈用講壇用聖書(SI98DCSE白)

日本カトリック司教協議会(江東区潮見2-10-10 会長:菊地功〔きくち・いさお〕・東京大司教)と日本聖書協会(中央区銀座4-5-1 理事長:石田学〔いしだ・まなぶ〕)は、2024年4月10日(水)、教皇フランシスコに『聖書 聖書協会共同訳』講壇用特装版を献呈しました。この献呈は、日本カトリック司教団が4月8日(月)から13日(土)まで行った使徒座定期訪問(アドリミナ訪問)の機会に行われたものです。

献呈は、4月10日(水)現地時間午前9時(日本時間午後4時)からバチカンのサンピエトロ広場で行われた教皇フランシスコの一般謁見で行われました。献呈は日本カトリック司教協議会と日本聖書協会が共同で行い、日本カトリック司教協議会(カトリック中央協議会)事務局長で日本聖書協会評議員の川口薫(かわぐち・かおる)神父と、日本聖書協会総主事の具志堅聖(ぐしけん・きよし)がそれぞれ菊地功・日本カトリック司教協議会会長、石田学・日本聖書協会理事長の代理として行いました。

献呈に際して、献呈状(※原文英語。イタリア語訳と日本語訳を添付。日本語訳は下記参照)と、今回献呈された聖書の製作とローマへの運搬の様子を写真で記録した冊子も教皇に手渡されました。

教皇フランシスコは2019年11月に来日していますが、『聖書 聖書協会共同訳』が教皇に献呈されるのはこれが初めてです。

献呈された聖書は、日本聖書協会の依頼により、今回の献呈のためにオランダのフォプマ・ヴィーエル社(FopmaWier)代表で製本職人のヴィッツェ・フォプマ氏(Wytze Fopma)が特別に製作しました。聖書が運搬に際して傷つけられることがないよう、今回の献呈に際して、フォプマ氏が自らオランダからローマに聖書を運びました。

献呈された聖書(『聖書 聖書協会共同訳 旧約聖書続編付き 講壇用』特装版)の判型はA4で、5本の背バンドが施されたクラシカルな装丁は、洗練されたフランス製本の伝統に則っており、フランシスコ教皇聖下のお人柄をイメージしてデザインされています。白色の表紙はミョウバンでなめした豚革です。表紙には、22カラットの金箔および革による装飾を施しています。見返しはこの聖書のために特別に作ったマーブル紙で飾り、花布は糸で縫っています。

『聖書 聖書協会共同訳』の初版は日本聖書協会により2018年12月に発行されました。この聖書は聖書原典に基づく日本語による二番目の共同訳であり、日本のプロテスタント教会とカトリック教会の典礼で用いられる標準訳となることを目指しています。今回の献呈は『聖書 聖書協会共同訳』発行5周年も記念しています。

『聖書 聖書協会共同訳』の共同訳事業は、日本カトリック司教協議会が、2010年2月の司教総会で「聖書の新しい共同訳事業を日本カトリック司教協議会として承認する」と決議したことで、正式に開始することができました。日本カトリック司教協議会は新共同訳に代えて聖書協会共同訳を典礼で使用することをまだ決議していませんが、聖書協会共同訳が日本におけるエキュメニズムのもう一つの重要な成果であることは言うまでもありません。

聖書協会共同訳の特徴は、日本聖書協会が翻訳の基盤として「スコポス理論」を採用したことです。聖書協会共同訳は、「礼拝で用いることを主要な目的とする。そのため、礼拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語訳を目指す」ことをスコポス(目的)として定めました。翻訳事業は2010年に開始し、2017年に終了しました。翻訳事業には148名(翻訳者62名、編集委員43名、外部モニター20名、検討委員23名)が関わりました。

花布(はなぎれ)は2色の刺繍糸で縫っています
花布(はなぎれ)は2色の刺繍糸で縫っています
見返しは特別に作ったマーブル紙で飾っています
見返しは特別に作ったマーブル紙で飾っています

『聖書 聖書協会共同訳』講壇用特装版の製作工程と、オランダからバチカンへお届けする映像記録をYouTubeに公開しました。
教皇フランシスコ献呈用講壇用聖書(SI98DCSE白)メイキング・映像 (7分13秒)

献呈状(日本語訳)

2024年4月10日

教皇フランシスコ様

『聖書 聖書協会共同訳」特装版献呈にあたって

 日本カトリック司教団の使徒座公式訪問(アド・リミナ訪問)に際して、日本聖書協会との協力のもとに『聖書 聖書協会共同訳』(以下、「聖書協会共同訳」)特装版を教皇様に献呈できることをたいへん光栄に存じます。

 『聖書 聖書協会共同訳』の初版は日本聖書協会により2018年12月に発行されました。この聖書は聖書原典に基づく日本語による二番目の共同訳であり、日本のプロテスタント教会とカトリック教会の典礼で用いられる標準訳となることを目指しています。

 最初の日本語による共同訳は1987年発行の『聖書 新共同訳』(以下、「新共同訳」) です。「新共同訳」は日本のカトリック教会の典礼で正式に使用されてきました。概して、第二バチカン公会議後、日本のカトリック教会とプロテスタント諸教派はエキュメニズムを積極的に推進してきました。聖書の共同訳は日本におけるエキュメニズムの最大の成果であり里程標です。共同訳は共通の福音宣教の基盤となるものです。1987年以来、カトリック教会とプロテスタント教会の人々が、同じ聖書翻訳を共同で読み、エキュメニカルな典礼において主の名を同じ表現で賛美することができるようになったからです。

 二番目の聖書の共同訳事業が正式に開始できたのは、日本カトリック司教協議会が2010年2月に開催された司教総会において「聖書の新しい共同訳事業を日本カトリック司教協議会として承認する」と決議したからです。日本カトリック司教協議会は新共同訳に代えて聖書協会共同訳を典礼で使用することをまだ決議していませんが、聖書協会共同訳が日本におけるエキュメニズムのもう一つの重要な成果であることは言うまでもありません。

 聖書協会共同訳の特徴は、日本聖書協会が翻訳の基盤として「スコポス理論」を採用したことです。聖書協会共同訳は、「礼拝で用いることを主要な目的とする。そのため、礼拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語訳を目指す」ことをスコポス(目的)として定めました。翻訳事業は2010年に開始し、2017年に終了しました。翻訳事業には148名(翻訳者62名、編集委員43名、外部モニター20名、検討委員23名)が関わりました。

 このたび教皇様に献呈する聖書協会共同訳の特装版は、日本聖書協会の依頼によりオランダのフォプマ・ヴィーエル社代表で製本職人のヴィッツェ・フォプマ氏が製作しました。

 この聖書は、フランシスコ教皇様のために特別に製本された一点ものです。判型はA4で、講壇での使用を目的として作られています。5本の背バンドが施されたクラシカルな装丁は、洗練されたフランス製本の伝統に則っており、フランシスコ教皇聖下のお人柄をイメージしてデザインされています。表紙はミョウバンでなめした豚革です。表紙には、22カラットの金箔および革による装飾を施しています。見返しはこの聖書のために特別に作ったマーブル紙で飾り、花布は糸で縫っています。

日本カトリック司教協議会会長、日本聖書協会副理事長
菊地功大司教

日本聖書協会理事長
石田学