心の体温計 - ストレスチェックの導入

テレビやインターネット上のニュースで新型コロナウイルス感染症の話を聞かない日はありません。「本日◯◯の感染者は1,000人を越えました」「2021年4月の倒産件数は134件、4か月連続で100件を超えました」「◯◯県の医療体制は切迫度が増し、危険な状態です」などの報道が繰り返されています。不安を煽るような暗いニュースばかりで、楽観的な人でもさすがに心が滅入ってしまう状況です。

大人ばかりではありません。子供たちこそ、このコロナ禍でストレスを強く受けています。「コロナのことを考えると嫌だ」(42%)「すぐにイライラしてしまう」(37%)「さいきん集中できない」(32%)など、国立成育医療研究センターの統計によると、何らかのストレスを感じている子供の数は全体の70%にも及んでいます。私の近所では、保護者の方々は協力し合って工夫をこらし、密を避け、オンラインなども活用しながら子供たちのストレス解消に努めています。同センターによる下記の2つの資料をぜひ参考にしてください。

コロナ禍という世界規模の非常事態とはいえ、かれこれ1年以上にわたり家族同士がプライベートな時間を共有できない苦痛たるや、とても大きなものです。家に閉じこもらなければならない。それに加えて日常の仕事や生活に関する不安とストレスも感じている。無意識のうちに多くのストレスを抱え込んでいる、それが私たちの現状です。

あなたは知らないのか、聞いたことはないのか。
主は永遠の神、地の果てまで創造された方。
疲れることなく、弱ることなく、その英知は究め難い。
疲れた者に力を与え、勢いのない者に強さを加えられる。
若者も疲れ、弱り、若い男もつまずき倒れる。
しかし、主を待ち望む者は新たな力を得、鷲のように翼を広げて舞い上がる。
走っても弱ることがなく、歩いても疲れることはない。
(旧約聖書:イザヤ書40:28-31)

疲労困憊で燃え尽きてしまい、起き上がることができない、深刻な病となって日々の活動ができなくなってしまう。そのようなことが起きないように、予防の一環として、2015年12月より厚生労働省は「ストレスチェック制度」を導入しました。健康診断を定期的に行うように、心の病気を未然に防ぐ目的で推奨されています。体温を測るように心の体温を測る。すなわちストレスチェックとは「心の体温計」のようなものです。客観的に自分の状態を知る一つの方法として、その実用が見直されています。私は燃え尽き症候群の経験者として、第三者による診断と早期の医療的アドバイスの必要を感じます。それと予防こそが重要だと言えるでしょう。

一方で、ストレスは常に悪いものではありません。適度なストレスは「快ストレス(eustress)」と呼ばれ、私たちの成長に不可欠なものです。筋力トレーニングでは徐々に負荷をかけてこそ筋力がつく。勉強も継続して学ぶからこそ学力がつく。良いストレスは人間の判断力や行動力などさまざまな力を高めることにつながります。それがある一定のレベルを超えたり、その性質が変化したりする時に「悪いストレス(distress/苦痛)」になるのです。適切に見極める道具(ツール)として「ストレスチェック」が用いられることを期待しています。

聖書の神は疲れた者に力・強さ・回復を与えるお方です。労苦・苦労、いずれも人生には必要なもの。その日その日で十分にやるべきことを果たし、すべての心配事は神に委ね、いつも喜びを持って歩みを続けていきたい。そのような歩みを日々祈りつつ求めています。

主の恵み

2021年6月1日